昔々、ある所にお爺さんとお婆さんが住んでいました。
お爺さんは村へ人狩りに、お婆さんは三途の河原へ石塔崩しに行きました。
お婆さんが、親より先に死んだ子供達が親の供養の為に作った石の塔を無惨に打ち壊していると、三途の河原で唯一慈悲費の心を持つ地蔵菩薩が襲いかかってきました。
哀れ、お婆さんは善戦するも、遂に心の臓を貫かれてしまいました。
お婆さんが殺されたと聞いたお爺さんは、お婆さんの敵討ちのために地蔵菩薩に決闘を挑みました。
しかし、地蔵菩薩は異常なほどに強く、お爺さんも討ち取られてしまいました。
世間の人々は二人の死を喜びました。
しかし実の所、二人は天から与えられた自分達の役割を果たしていただけなのです。
二人は元々彼岸の住人でしたから、極楽にも地獄にも行けません。
本来ならば、ただ消え去るだけなのですが、そんな二人を哀れに思う者も居ました。
人と血吸いの鬼の合いの子に懇願された、神に背きし者達の盟主は、今にも消えてしまいそうだった二つの魂を練り合わせて、一つの歪な魂にして異界へと送りました。
一人になった二人は、何処かの世界で異形の怪異として生まれ落ちたことでしょう。
さあ、神に愛されし英雄王が追ってきた、話はお終い。