まだ天に光が満ち溢れ、人の祈りが届いた頃、それはそれは美しく可愛らしいお姫様が居ました。
お姫様はひとりぼっちでした。
誰もがお姫様の美しさをほめたたえましたが、それでもお姫様はひとりぼっちだったのです。
お姫様は世界の果ての豪華で寂しいお城にたった一人で住んでいました。
何百年も、何千年も、何万年も、たった一人で住んでいました。
そう、お姫様は年を取らないのです。
天から光が遠ざかり、人の祈りが届きにくくなった頃、お城に王様がやってきました。
王様は言いました。
「私の道具となるのなら、あなたを殺して差し上げましょう」
お姫様は喜んでうなずきました。
そう、お姫様は死にたかったのです。
王様のお城に迎えられたお姫様は、やがて王様と愛し合って子供産んで、最後には約束通り王様に殺されました。
その顔にはひとりぼっちだった頃の寂しさはなく、とても幸せそうな顔だったという事です。
さあ、辞書を振りかざした超人王がやってきた、話はお終い。