「永久の姉御には、何時も御世話になっておりやす!」
「こちらこそ、お招き頂き感謝いたします」
ここは、とある世界の、とある街の、とある旅館の宴会場。
今日は、永久の誘いでとある非合法組織の新年会に来ています。
魔王協会の会長など真っ当な職業とは言い難いので、私がここにいること自体は特におかしな事でもないのですが……、どうして永久経由で招待が来たのでしょうねえ?
……あの子の交友関係は、どうなっているのでしょう?
「御主人様?」
そんな事を考えて頭を抱えていると、永久が心配そうに声をかけてきました。
「いえ、何でもありません。少し考え事をしていただけです」
いけません、永久の交友関係は別の機会に問いただすとして、今は楽しみましょう。
「それでは、今年も良い年になる事を願って……」
司会の男の音頭に合わせて、私は永久と杯を打ち合わせた。
――乾杯。