アイオーンの血脈

 アイオーンの血脈(アイオーン種とも)は魔術型の吸血鬼であり、有性生殖と感染を組み合わせた特異な生殖を行う。
 彼らは有性生殖によって生まれた自らの子に吸血行為を行い同族とするのである。
 この際、片親が人間であっても構わないが、彼らは自身の親以外からの感染に対して絶対的とも言える程高い耐性を持つため、同族同士であるにせよ、片親が人間であるにせよ、吸血行為による感染を行うのは両親の何れかでなくてはならない。
 なお、彼らは異常な程高い魔力に対して身体機能は驚くほど低く、感染を受ける事が出来なかった子供は大半が数日中に死亡する。

 伝承に寄れば、少女の姿を取った世界原理の一端が他者の命を奪わなくとも生きていける様、時の王に吸血鬼化の秘術を掛けて貰ったのが彼らの起源であると言われており、タンタロス黙示録に記述のある『少女』が其れではないかと一部の学者達は考えており、其の根拠とされるのが次の一文である。

 少女は其の身を血に染め上げて。
 王に牙立て血を啜る。

 浅ましくも慈悲深く。
 美しくも醜悪で。

 永劫の司たる少女は、死を拒むが故に血に染まる。

――吸血鬼大全より抜粋。